SaaS管理ツールとは?

SaaSはSoftware as a Serviceの略で、各種ソフトウェアサービスをインターネット経由で利用するサービスを指します。具体的にはG SuiteやSalesforce等があげられます。従来は、自社で環境をそろえるオンプレミスが主流でしたが、インターネットが普及したことにより、SaaSも普及してきました。SaaSでは、専用の機器を購入する必要が無く利用できるため、イニシャルコストが不要になります。このSaaSを管理するものがSaaS管理ツールになります

SaaS管理ツールが必要とされる背景

SaaSは、インターネットに接続できれば利用できるため、リモートワークと相性が良くコロナ禍で一気に普及しました。しかし、SaaSを導入すると、システム管理者が想像している以上に多くのSaaSをユーザが利用することになります。これは、インターネットに接続するだけで、簡単に使用できるということが関係しています。そのため、実際にどの程度使用しているか正確に把握することは非常に難しくなります。そこで、重要なのはアカウントをどのように管理するかということです。少数であれば管理は簡単ですが、SaaSが普及した今となっては、今までの管理では手間がかかり手が回らない状態となりリスクが高まります。そこでリスクを低減しながらSaaS管理ツールを利用し、膨大な量のアカウントを簡単に管理できるようにします。

SaaS管理ツールのメリット

SaaS管理ツールのメリットは大きく3つあります。アカウント管理の効率化、コスト削減、セキュリティ対策の3つです。

アカウント管理の効率化

SaaSでは、それぞれのサービス毎にアカウントが必要です。そのため、人事異動等の度にアカウントの作成・削除が必要となります。少数であれば簡単ですが、社員数が増えると手間がかかり非常に面倒な作業となり、ミスも増えます。SaaS管理ツールを活用すると、各アカウントを一覧にすることが可能なものもあり、誰がどのSaaSを利用し、どのような権限を持っているかというのを可視化する事ができます。そのため、アカウント管理の効率化が期待できます。

コスト削減

SaaS管理により、アカウントを一覧にすることにより、不要なアカウントの洗い出しが可能となります。そのため、使用されていない不要アカウントが一目瞭然となります。 また、使用状況を確認することで、利用頻度が低いアカウントの継続の検討などが可能になります。このように無駄なアカウントを減らすことにより、コストを削減することができます。

セキュリティ対策

SaaSのアカウントが残存していれば退職者でもアクセスすることが可能となる為、不正アクセスのリスクがあります。また、シャドーITを把握することもセキュリティリスクの観点から必要となります。SaaS管理ツールを活用すると、退職者のアカウントの削除漏れを横断的に確認できたり、社内で利用されるシャドーITを検知できたりといったセキュリティリスク的な側面も可能になります。

SaaS管理ツールのタイプと選び方

SaaS管理ツールでは、何に主眼を置くかで2つのタイプに分けることができます。

1つめはSaaSとアカウントの管理に主眼を置くタイプです。これは誰が何のSaaSを利用しているかについて、適切な把握と処理を可能とし、管理効率の向上を目的に設計されています。アカウントの作成削除のみならず、ログイン状況、権限等の管理も可能とします。

2つめはSaaSに対する認証管理に主眼を置くタイプです。これはアカウントの効率化のみならず、シングルサインオンや二要素認証を実現することができる物です。これにより、たとえIDやパスワードが流出したとしても、これらのアカウントを簡単に利用されないようにできます。 このように、大きく分けると2種類あるので、自社の導入する目的にあったタイプのものを選ぶことが重要です。

SaaS管理ツールの比較のポイント

SaaS管理ツールを比較するポイントとしては、先ほどの2種類のタイプの他に以下のようなものを比較することが多くあります。

①対応するSaaS SaaS管理サービスによって、対応しているSaaSが異なります。導入したのは良いけれども、自社で利用しているSaaSが対象外であったりということがないように事前に確認しましょう。しかし、サービス側もバージョンアップすることで、対応しているSaaSが増える可能性もあります。従って、対象になっていないからと諦めるのではなく、サービス提供ベンダに対応予定を確認することも重要です。

②アカウント情報の連携 SaaSアカウントの管理にあたっては、従業員、或いはIDマスターと呼ばれる社内に存在するマスターデータが必要になります。マスターとしてスプレッドシートのようなものが存在する場合、ツール側にアップロードすることでアカウント管理の元になるデータとして活用可能です。良いですが、しかしながら、SaaS管理ツールによっては、社内で利用されるマスターデータとなりうるクラウドサービスと連携できるものもあり、これを利用することにより、アカウントを常に最新の状態に維持することができます。

③コスト管理 SaaSも1つ1つのコストは小さいかもしれませんが、ユーザ数が多くなると、そのコストは膨大になります。管理ツールによっては、どのSaaSをどの程度使用しているかが個人単位で可視化できる物もあります。この機能を用いることにより、コスト最適化を図ることができます。 これらの他にもいろいろな機能があります。管理ツールを比較するときは、まずは何がしたいかという点をはっきりとさせ、必要な機能が網羅されているものかを確実に確認しましょう。

主なSaaS管理ツールの比較

国内ではSaaS管理をできるツールがいくつか存在します。 今回は、2022年09月時点 ITreview*の評価とコメントを参考に主なSaaS管理ツールをご紹介します。

*出典 : 【22年最新】SaaS管理のおすすめ13製品をユーザーレビューで徹底比較!https://www.itreview.jp/categories/saas-management#go-to-product-list

マネーフォワード IT管理クラウド

SaaS管理

①評価 : 4.2 ②コメント数 :18件  ③製品紹介: SaaS管理プラットフォーム「マネーフォワード IT管理クラウド」を利用することで、クラウドサインのID管理が便利になります。 チャットワーク ユーザー追加、削除、外部ユーザー管理など、SaaSを一元管理を行うことができ、シャドーITを検知することができます。 誰がIDを持っているのか、どんな権限があるのか、退職者や契約終了した外部パートナーのアカウント削除漏れはないか、そのようなチェックや管理が簡単になります。

④お客様の声 a.良いポイント マネーフォワードのIT管理クラウドの優れている点・好きな機能 ・サービス単位・ユーザー単位で利用しているSaaS利用状況を確認できるところ ・利用実績の可視化 その理由 ・1ユーザーにどれくらいライセンスをしているかをすぐに確認できるため ・簡単な初期設定の後、各SaaSにログインせずライセンス利用状況を閲覧できるため ・ライセンスは付与しているもの実際の利用可否がわかることでライセンスの棚卸しが楽に行えるため b.改善してほしいポイント 欲しい機能・分かりづらい点 ・メールアドレスを取得できないSaaSに対して従業員マスタと突合できるようにする機能 その理由 ・GitHubなど連携SaaSからメールアドレスが取得できず従業員マスタとの突合ができず、従業員単位でのライセンスの付与解除が効率よくできないため

ITboard

①評価 : 4.0 ②コメント数 :13件  ③製品紹介: ITboardは全社でのSaaS一元管理を実現し、可視化・コストの最適化・セキュリティ問題の改善をボトムアップ型で提案するSaaS管理プラットフォームになっており、情報システム部や総務経理部で今まで行っていた作業を簡略化するサポートサービスです。

・SaaS利用コストの可視化 利用中SaaSサービスと接続(自動・手動取込)し、ご利用中のSaaSの利用状況と利用料がダッシュボードで把握できます。全社・組織別・製品別で可視化が可能。登録方法はSAML認証を導入、ユーザー自身で簡単に登録が可能です。 ・SaaSアカウント運用の効率化 SaaS製品別の利用率や未利用アカウントの発見ができます。これにより、過剰購入・重複利用を防ぎ、コストカットに繋げることが可能です。また不要なアカウントを発見し、アカウント削除も行うことができます。 ・SaaSの契約管理 支出・更新日が近づいた場合にアラートが発生します。 SaaSの更新時に利用していない契約数を見直せるためコスト削減が可能に。また具体的なアクションに繋げられるよう多彩な軸によるクロス分析を行い、SaaS管理を最適化できるよう提案いたします。

④お客様の声: 1.良いポイント 優れている点・好きな機能 ・管理部門が異なるSaaSも一元管理できる。 ・機能追加、連携SaaSの拡大を随時行っている。 その理由 ・連携未実装のSaaSについてもヒアリングしてくれ、今後のさらなるSaaS追加・機能追加にも期待。 b.改善してほしいポイント ・連携SaaSの中でも連携範囲に差異があるものが多いので、今後の連携範囲拡大に期待。 ・棚卸の基準が非アクティブのみなので、ITboardユーザーではない担当者へのアラートや確認方法の拡張を期待。 (非アクティブだからといって、情シス担当の判断のみで削除できないケースが多い。)

SaaS一元管理ツールBundle

①評価 : 4.5 ②コメント数 : 9件 ③製品紹介: BUNDLEは、SaaS一元管理ツールです。アカウント発行・削除の自動化が可能です。異動によるSaaSのアカウントの切り替えの自動化も可能です。 使われていないシャドーアカウントを発見し、セキュリティを高め、無駄コストを削減できます。

④お客様の声: a.良いポイント ■優れている点・好きな機能 ・ワークフロー 入退社や異動をトリガーに、連鎖的に各種アカウント発行や削除ができる ・グループ   任意の条件に合致するユーザーに対して、各種アカウントを発行できる   逆に、条件に合致しなくなったユーザーは、各種アカウントを削除できる ・UI/UX   単純に見やすい上に、自動化を意識しており、直接的に工数削減に効く   ドメイン内/ドメイン外のアカウント発行状況の可視化等も可視化される b.改善してほしいポイント ■欲しい機能・分かりづらい点 ・情シスの仕事の内、ID/アカウント管理業務は一部なので、デバイス管理等の他機能も今後追加してくれるとツールが1か所にまとめられてより便利になると思う ・クラウドサービスの利用やそれに伴うID管理業務の爆発的な増加は、最近出てきた課題なので社内説明が効率的になるような資料やサポートももっと欲しい。

ジョーシス

①評価 : 4.1 ②コメント数 : 4件 ③製品紹介: ジョーシスは従業員1名単位からSaaSの利用状況を捕捉できるSaaS管理ツールです。使いやすさと機能の充実度から、業種業態を問わず多くの企業で採用されています。従業員の入社に合わせて必要な、SaaSのアカウント作成のみならず、デバイスの調達段階からサポートされます。

④お客様の声: a.良いポイント PCキッティングだけでなく、調達からキッティング、郵送まで一貫してジョーシス内でお願いできるので働き方がリモートメインの弊社からすると非常にありがたいです。 良いなと思うポイントは、機能面はもちろんのこと、どんどん開発・改善していこうという姿勢と実際の早い開発スピード、そしてフォロー体制の充実度は嬉しいポイントです。 そのため、アプリ連携数もリリース当初よりどんどん増えてきており、メジャーどころはだいたいカバーできてきており、中小規模組織であれば充分機能するレベルのサービスという印象です。 b.改善してほしいポイント プロビジョニング機能については、まだエラーが発生したりする場合があるため、安定化という点は今後期待しているポイントです。 ※ただしSlackの企業ごとの専用チャンネルがあるため、即連絡すれば対応いただけます。

メタップスクラウド

①評価 : 4.5 ②コメント数 : 1件 ③製品紹介: メタップスクラウドは、SaaS利用状況の見える化やID管理により、SaaSアカウントの管理にかかる時間・コストの増大や、パスワード漏洩などのセキュリティリスクといった課題を解決します。これにより、企業はSaaSの導入がしやすくなり、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進をさらに加速することが可能です。

④お客様の声: a.良いポイント メタップスクラウドは、まずUIUXが素晴らしいです。

バックオフィス系のSaaSは比較的地味ですが、こちらのサービスはデザイン性に優れてます。

また、利用する複数のSaaSを登録することで、利用状況やコストが一瞬で見える化出来ます。

SSOもあるので、他のIDaaSを解約できコスト削減に繋がりました。 b.改善してほしいポイント 欲しい機能・分かりづらい点

・PCやモバイル等の資産管理機能

・英語・中国語対応

・多様なプロビジョニング機能

まとめ

SaaSの導入は簡単にできますが、それを適切に管理しないと無駄なコストが増大したり、セキュリティ面で問題がでてきたりします。そのために、適切な管理ツールを導入し、SaaSを管理しましょう。

SaaS管理

執筆:橋爪兼続

ライトハウスコンサルタント代表。2013年海上保安大学校本科第Ⅲ群(情報通信課程)卒業。巡視船主任通信士を歴任し、退職後、大手私鉄の鉄道運行の基幹システムの保守に従事。一般社団法人情報処理安全確保支援士会の前身団体である情報処理安全確保支援士会の発起人。情報処理安全確保支援士(第000049号)。