最近はソーシャルログインを利用するサービスが増加しています。ソーシャルログインという言葉や仕組みそのものを知らなくても、意識せず利用している人は増えているという状況です。このコラムでは、ソーシャルログインの仕組みから、メリットデメリットを解説いたします。
ソーシャルログインとは、SNSのアカウントを用いて、Webサービスにログインできるようにする仕組みです。よくWebサービスで、「Twitterでログイン」や「Facebookでログイン」、「LINEでログイン」等のボタンを目にすることがあると思います。これがソーシャルログインです。 Webサービスで重要なことは、如何にして顧客(アカウント)を増やすかです。アカウントの新規登録は利用者側にとっては入力の項目が多く煩わしいものです。、そのため、Webサービス提供側は入力の煩雑さを少しでも減らすことを考えます。そこで顧客が普段使用しているSNSのアカウントでログインできるようにすることで、新規登録のハードルを低くすることが可能となりました。この仕組みは10年以上前から存在していますが、近年のSNS利用者が急増したことにより、このソーシャルログインを採用するサービスが急増しました。
出典:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>P11 令和3年8月 総務省情報通信政策研究所
https://www.soumu.go.jp/iicp/research/results/media_usage-time.html
ソーシャルログインは、「OAuth」や「OpenID Connect」というような国際的に標準化されているプロトコルを利用しています。手順の概要は次の通りです。 ①ユーザがWebサービス上で「○○でログイン」をクリック。 ②WebサービスがSNSの認可サーバーに連携を依頼。 ③認可サーバーは、画面上にSNSの利用許可の確認画面を表示。 ④ユーザがこれに同意する。 ⑤認可サーバからWebサービスにアクセストークンを発行します。 ⑥ログインが完了します。 サービスによっては、追加情報を求められることもありますが、SNSにアカウントがあるだけで、Webサービスのアカウント登録を簡単に行うことができます。
①LINE 利用者数が非常に多く、幅広い年齢層を対象としたソーシャルログインに適しています。ソーシャルログインのみならず、LINEの友だち追加機能を活用して、サービスへの登録と同時に企業アカウントを友達として追加することも可能となっています。 ②Yahoo!JAPAN パソコンユーザの多くがYahoo!JAPANアカウントを有しています。スマートフォンの利用率が高くパソコンの利用率が低い若年層には不向きですが、比較的年齢層が上のユーザには適しています。 ③Google スマートフォンやパソコン、タブレット等端末の種別を選ばずに利用しています。特に利用者層を気にせずに導入することができます。 ④Apple Apple IDを用いたものです。日本ではiPhoneユーザが非常に多いため有用です。Appleが提供しているFace IDやTouch IDが利用できる等利便性が向上しています。 ⑤Facebook Facebookは実名登録が原則となっているSNSです。したがってWebサービスで実名登録が必要な場合に有効です。また、Facebookログインを利用した場合は、その固有のIDを用いて、リターゲティング広告等に利用することも可能です。 ⑥Twitter 利用者は非常に多いサービスですが、Twitterを用いたソーシャルログインは少なくなっています。理由としては、複数アカウントが開設可能なため、ユーザを使い分けるという手間が生じてしまうためです。 ⑦Instagram 主に若年層に流行しているサービスであり、その層をターゲットとしたWebサービスで用いられることがあります。
ソーシャルログインによるメリット・デメリットは次の通りです。
①導入/実装する方法 導入する方法としては、「SNSで提供されているAPI Keyを取得し、独自に開発する方法」「外部サービスを使用する方法」の2種類あります。導入する場合は専門知識が必要となるため、専門のベンダーに任せることをお勧めします。 ②SNSにより得られる情報が異なります。例えばECサイトであれば、住所などの情報が必要になります。一方で、掲示板等であれば、ログインだけできれば問題ありません。自社のサービスで何の情報が必要か、SNSからどのような情報が提供されるかを検討しましょう。また、SNSによりユーザ層が異なるので、複数のソーシャルログインを導入するということも重要なポイントになります。
SNSの流行により、ソーシャルログインがメジャーなものとなっています。逆にソーシャルログインでなければ、新規登録が面倒なために、新規ユーザーの獲得を逃すことに繋がりかねません。自社のサービスの特性などを把握し、適切なシステムを導入しましょう。
ライトハウスコンサルタント代表。2013年海上保安大学校本科第Ⅲ群(情報通信課程)卒業。巡視船主任通信士を歴任し、退職後、大手私鉄の鉄道運行の基幹システムの保守に従事。一般社団法人情報処理安全確保支援士会の前身団体である情報処理安全確保支援士会の発起人。情報処理安全確保支援士(第000049号)。
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